言語1 実習や演習などの授業におけるマスク着用時の聞き取りやすさについて
佐藤奈々美 井原明日香 今岡蓮也 谷本達哉 舩木紫帆
出雲医療看護専門学校 言語聴覚士学科
Keywords: 透明マスク 不織布マスク 実習 演習 聞き取りやすさ
1.はじめに
コミュニケーションとは言葉や表情などを用いて相手と意思を通わせることであり、社会で生活する上で欠かすことができないものである。昨年度の研究結果1)から得られた仮説「口の動きを見せることでコミュニケーションの障壁を減らせる」というノンバーバルコミュニケーションの重要性を、講義形式の授業のみならず、演習やグループワークの行いやすさについて検証することを目的とする。
2.方法
透明マスクと不織布マスクを使用した演習形式で、各学科、検査者・被験者(話し手・聞き手)に分かれて「聞き取りやすい・伝わったと感じたマスク」と「今後使うとよいマスク」をアンケートにより調査した。A専門学校の理学療法士学科、臨床工学技士学科、言語聴覚士学科、看護学科の生徒72名にアンケートを取った。
3.結果
学科別「聞き取りやすい・伝わったと感じたマスク」は、透明マスクでは臨床工学技士学科が一番多く、不織布マスクでは、理学療法士学科が一番多い結果となった。「今後使うとよいマスク」は、透明マスクでは臨床工学技士学科・言語聴覚士学科が多く、不織布マスクでは看護学科が一番多い結果となった(図1)。
4.考察
臨床工学技士学科・言語聴覚士学科では、検査者・被験者(話し手・聞き手)が対面の表情が見える演習だったため、聞き取りやすい・伝わったと感じたのは透明マスクが多かったと考える。理学療法士学科・看護学科では、検査者・被験者の表情が見えない(見えにくい)体勢での演習だったため、聞き取りやすい・伝わったと感じたのは、普段から使い慣れている不織布マスクが多かったと考える。
図1 今後使いたいマスク
5.まとめ
体を向き合わせて顔の表情を見る演習では、透明マスクを使用した方が円滑に行えると考えられる。顔の表情が被験者の視界に入らない演習では、どちらのマスクを使用しても良いと考える。
6.参考研究
- 巽 愛夏、赤木愁悟、石富ひな、深田彩華:新型コロナウイルス感染対策前後の授業における聞き取りやすさについて―アンケート調査と音圧測定による検証―出雲医療看護専門学校 研究方法・卒業研究