看護3 不織布マスク着用と肌トラブルの関係性
立岩桃花 寺井夢乃 永田茉帆 松本莉緒 山根かえで 渡部恵里
出雲医療看護専門学校 看護学科
Keywords:不織布マスク、肌トラブル
1.はじめに
近年、マスクを着用することが求められている。マスク内の温度や湿度が温浴と同じ状態になると考えられ、マスクに覆われている皮膚でも角層水分量の減少が生じ、乾燥につながると予想する。またマスク着脱後、皮膚の水分は蒸散して乾燥するため皮膚の水分量が減少し皮膚バリア機能は低下する。そのため乾燥の悪化を引き起こし、皮膚障害が増えるという悪循環に陥ると予想する。マスク着用と肌水分率・肌表面温度の低下の関係性を明らかにした研究はなく調査するとした。そのため医療学生のマスク着用による肌トラブルの現状と、マスク着用と肌水分率・肌表面温度の低下の関係性を明らかにする。
2.方法
アンケート調査とマスク着用による乾燥の検証を行う。研究結果からマスク着用に関連したアンケート調査による乾燥しやすい部位について、マスク着用前と着用後の肌水分率と肌表面温度を時間別に測定した。
3.結果
マスク着用による肌のツッパリが起こりやすい部位として右頬の回答が多く、かさつき、発赤、発疹、ヒリヒリ感では右頬、粉吹きでは鼻、痒みでは左頬~左耳の間、チクチク感では右頬~右耳の間の回答が多い部位であった。実験直後の肌表面温度が低い上位3か所は、右耳の周囲2人、額2人、顎の右側2人であり、肌水分率が低い上位3か所は、右頬~右耳の間3人、左頬~左耳の間、鼻の下、右頬、左頬、顎が同等で2人であった。
4.考察
本研究の結果、部位別でみた肌表面温度と肌水分率の関係性はないと考える。肌表面温度と肌水分率をそれぞれ時間別にみたときに、外的要因にもよるが、放熱されるには時間が必要であり、マスクを外した後の肌水分率は1分後から蒸散され低下しやすい傾向であると考えられる。実際にマスク着用による乾燥や苦しさ・暑さを実験中に感じたことから、医療職である以上マスク着用は必須であるため、水分摂取や保湿を徹底する必要があると考えられる。また、マスク着用の必要性がある患者も苦痛・不快に感じるため、患者さんに対するメンタルサポートも徹底する必要があると考える。
5.まとめ
本研究ではマスク着用による肌トラブルとマスクを外した後の肌表面温度の変化の結果からは関係性がなかった。一方、マスクを外した後の肌水分率の低下と肌トラブルでは関与が認められた。今後肌水分率の低下予防に水分摂取や保湿は関与しているのか検証していく必要がある。