看護4 終末期実習後の学びの共有が死生観の形成に与える影響
田中 真惟子,池尻 葵,伊藤 花華,藤原 美香
出雲医療看護専門学校 看護学科
Keywords:終末期実習、死生観、看護学生
- はじめに
現在の日本は、超高齢社会を迎えており、医療機関や福祉施設で最期を迎える人が多い。今後、終末期に関わる機会が増加していくと考えられる。
看護学生は、通常の実習であっても緊張や不安を持ちながら受け持ち患者へのケアを行っており、先行研究では、終末期実習での学生は様々な“負の感情”を示唆していたと述べている。
そこで私たちは、実習後カンファレンスを行い、学びを共有し、実習中のどのような場面や体験が死生観の形成・確立にどのように関連しているか、明らかにすることを目的とした。
そして、死生観が明確になることで、今後臨床で看護をするうえで、患者が抱えている苦痛にともに向きあいながら、患者中心の看護援助の提供に繋がることを明らかにする。
2.方法
A専門学校、看護学科3年生65名を対象に無記名のアンケート調査を行った。また、研究協力が得られた9名に実習後のカンファレンスを実施した。
3.結果
カンファレンスの内容ごとに、それぞれ2~4つのサブカテゴリーに分類した。
患者の傍で時間を過ごすことで思いが見えてくることや、患者の状態や気持ちは見た目通りではないことから患者の印象が変化していった。
家族との関わりから、限られた時間の中で情報収集し家族の思いを推察することができていた。
状態が悪くなっていく患者を目の当たりにすることや、患者とのコミュニケーション、家族の様
子から死を怖いものと思いながらも、終末期患者の残された時間を自分らしく有意義に過ごすことが大切という死のとらえ方に変化しており、患者自身を理解し、具体的な援助やこれからの看護を考えることに繋がっていた。
また、話し合い、他者の意見を聞くことで死生観やケアを考えるきっかけとなったという意見があった。
4.考察
事前アンケートより、学生が死に対して恐怖などの負のイメージを持っていた。
しかし、実際に患者と接することで、患者の衰弱していく様子は、苦痛と感じていた。一方で、学生は患者の前向きな行動を促すことや不安な思いを傾聴することもケアの一つになると学んでいる。
本研究ではカンファレンスで自らの死生観の形成に関連した具体的な体験や思いを表出することと、他者の体験を共有することが、死生観の変化をもたらすことが明らかになった。
また、自らの死生観の確立とともに、患者と同じ時間を過ごし、コミュニケーションをとることで、患者の思いを推測することができていた。患者の心理面を理解することで苦痛の緩和、有意義な時間を過ごすケアが必要であると学んでいた。
5.まとめ
本研究では、患者中心の看護援助を提供するためには、患者と実際にかかわることと、具体的な体験を他者と話し合うことが有用であることが明らかになった。